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【2022年10月分】燃料費調整単価の金額は?上限撤廃の影響はどの程度?

10月分

電気の発電には、石炭や天然ガスなどの様々な燃料を使用します。

そして、あなたが支払っている電気料金には「燃料費調整料金」といった料金が含まれ、燃料の価格変動の調整を行っており、大きなインパクトがあることはご存知でしょうか?

当記事では、燃料費調整料金の概要と具体的な燃料費調整金額について説明します。

また当記事を読むことで、電力会社を比較・検討する上で重要となる、「燃料費調整単価の上限設定の影響力」について、理解することができます。

結論から言うと、現在のような原油高の状況においては電力会社選びにおいて、各電力会社の「燃料費調整単価の上限設定有無」が最も重要となっています。

前置きはいいから、燃料費調整料金の具体的な料金を知りたい方は、こちらをどうぞ!

燃料費調整制度の概要

グラフ説明

まずは、電気料金の構成要素について簡単に紹介したうえで、燃料費調整単価の位置づけや構成要素について説明します。

電気料金の構成要素

そもそも普段支払っている電力料金が、どのような構成になっているのかを簡単に紹介します。電気料金の構成要素は下図の通りです。 電力料金 上記の図からわかる通り、電気料金は大きく以下4つの料金で構成されています。

  1. 基本料金
  2. 電力量料金
  3. 燃料費調整料金
  4. 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)

当記事では、この中の「③燃料費調整料金」について紹介します。

燃料費調整料金とは

簡単に説明すると、「電気の発電に用いる燃料価格の変動を電気料金に反映させる制度で、その調整を消費者に負担させるための料金」です。

この燃料価格の変動については、世界の経済情勢で決まるもので電力会社の経営努力でもコントロール不可であるため、消費者も含めて変動のリスクを負うという考え方で電気料金は設計されています。

ここで言っている燃料価格とは、具体的には火力発電の燃料となる以下の燃料価格の平均を取ったものを指しています。

  • 原油
  • LNG(液化天然ガス)
  • 石炭

そして燃料費調整額の計算は、これらの燃料価格を2ヶ月後の電気料金に反映させるとうい考え方で設計されています。

消費者の立場からすると、勝手に変動のリスクを負わされて迷惑ではありますが、燃料価格が低下した時には電気料金も安くなって恩恵を受けるので、トータルで見るとプラスマイナスゼロになるため、仕方ないと割り切るしかありませんね。

燃料費調整料金の構成要素

燃料費調整料金ですが、構成要素は以下の通り2つに分解でき、この2つの掛け算によって燃料費調整料金が決定します。

  • 電力使用量
  • 燃料費調整単価

以下でそれぞれの要素のポイントについて、簡単に説明します。

重要になるのは燃料費調整単価の考え方になります。

電力使用量

電力使用量ですが、これはその名前の通り電気の使用量を指します。

つまり、あなたが家で電気をどれだけ使用しているかという話ですので、電力会社に関わらず家族構成や生活環境によって決まる数字であり、電力会社比較においては、そこまで大きな意味を持ちません。

電力使用量が多くて電気代が高いならば、生活を改めて節電をすればいいということです。

燃料費調整単価

次に燃料費調整単価についてですが、燃料費調整額の観点で電力会社料金を比較する上では、こちらが重要になります。

燃料費調整単価を決定するための数式は以下の通りとなっています。

燃料費調整単価

この構成要素のうち、「基準燃料価格」と「基準単価」は、地域によって数値は異なりますが、一定の数値が決まっているため、変動するのは平均燃料価格のみです。

この平均燃料価格ですが、上記の数式からわかる通り、平均燃料価格が大きいほど燃料費調整単価は大きくなり、小さいほど燃料費調整単価は小さくなるため、燃料費調整単価を決定する一番重要な要素になります。

そして、ここが電力会社によって考え方が異なるのですが、平均燃料価格に上限を設定している電力会社と設定していない電力会社があります。

上限の設定有無での違いは以下の通りで、この考え方の違いで燃料費調整額が大きく異なってきます

  • 上限あり:燃料価格が高騰しても、燃料調整単価は上限までしか上がらない
  • 上限なし:燃料価格が高騰すると、燃料調整単価は青天井で高騰し続ける

2022年のような原油高の状況においては、上限燃料価格が設定されていないと、電気料金が青天井で高騰してしまう可能性があるのです。

各地域の基準燃料価格、上限燃料価格、基準単価

グラフ

燃料費調整単価の構成要素において重要となる基準燃料価格、上限燃料価格、基準単価及び各地域電力会社の上限燃料価格の設定状況について紹介します。

基準燃料価格、上限燃料価格、基準単価

まずは、各地域の基準燃料価格、上限燃料価格、基準単価について紹介します。

地域電力会社によって使用している燃料構成も変わるため、基準燃料価格や上限燃料価格は地域によって異なります

2022年10月現在の設定状況は以下の通りとなっています。

  東京 北海道 東北 北陸 中部 関西 中国 四国 九州 沖縄
基準燃料価格 44,200円/kl 37,200円/kl 31,400円/kl 21,900円/kl 45,900円/kl 27,100円/kl 26,000円/kl 26,000円/kl 27,400円/kl 25,100円/kl
上限燃料価格 66,300円/kl 55,800円/kl 47,100円/kl 32,900円/kl 68,900円/kl 40,700円/kl 39,000円/kl 39,000円/kl 41,100円/kl 37,700円/kl
基準単価 0.232円/kWh 0.197円/kWh 0.221円/kWh 0.161円/kWh 0.233円/kWh 0.165円/kWh 0.245円/kWh 0.196円/kWh 0.136円/kWh 0.316円/kWh

各地域の最新燃料価格および燃料調整費単価(2022年10月分)

次に各地域の最新平均燃料価格と燃料費調整単価について、以下の通りとなります。

こちらは、2022年4月~6月の燃料価格を基に計算されており、毎月金額が変わります。

対象の地域のタブをクリックしてご確認くださいを紹介します。

東京
北海道
東北
北陸
中部
関西
中国
四国
九州
沖縄
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
79,000円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
5.13円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
8.07円/kWh
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
79,800円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
3.66円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
8.39円/kWh
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
74,200円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
3.47円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
9.46円/kWh
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
73,300円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
1.77円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
8.28円/kWh
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
74,900円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
5.36円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
6.76円/kWh
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
72,400円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
2.24円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
7.47円/kWh
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
73,200円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
3.19円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
11.56円/kWh
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
73,500円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
2.55円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
9.31円/kWh
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
69,600円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
1.86円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
5.74円/kWh
  金額
平均燃料価格
(2022年10月)
73,600円/kl
燃料費調整単価
(上限あり)
3.98円/kWh
燃料費調整単価
(上限なし)
15.33円/kWh

各地域電力会社毎の燃料調整料金の上限設定状況

ここでは、各地域電力会社の燃料調整料金の上限設定状況を紹介します。

結論から言うと、多くの地域電力会社で一部プランの上限撤廃を実施してはいますが、まだ上限燃料価格が設定されている状況です。

しかしよく内容を見てみると、電力自由化後に契約をした方の場合は燃料費調整単価の上限が撤廃されているケースも多くありますので、ご注意ください!

例えば、東京電力は新プランのスタンダードSは上限がありませんが、旧プランの従量電灯Bは上限があります。

各地域電力会社毎の燃料費調整単価の上限設定状況は以下表の通りです。

地域電力会社 燃料費調整料金の上限設定状況
東京電力 家庭向けの一部プランでは撤廃済み(スタンダードSは上限なし、従量電灯Bは上限あり)
北海道電力 家庭向けの一部プランで2022年12月分より上限撤廃(従量電灯Bは上限あり)
東北電力 家庭向けの一部プランでは2022年12月分より上限撤廃(従量電灯Bは上限あり)
北陸電力 家庭向けは上限あり(対応検討中)
中部電力 家庭向けの一部プランでは2022年12月分より上限撤廃(従量電灯Bは上限あり)
関西電力 家庭向けは上限あり
中国電力 家庭向けは上限あり
四国電力 家庭向けの一部プランでは2022年11月分より上限撤廃(従量電灯Aは上限あり)
九州電力 家庭向けの一部プランでは2022年10月分より上限撤廃(従量電灯Bは上限あり)
沖縄電力 家庭向けは上限あり

各地域の燃料費調整額及び上限有無による電気料金へのインパクト(2022年10月分)

比較

前章で紹介した各数値を踏まえて、各地域の燃料費調整金額(上限あり/なし)と上限設定の有無により、どれだけ電気料金へインパクトがあるのかを計算しています。

先に結論から言うと、現在の状況においては、燃料調整額の上限有無での価格差が非常に大きいため、できるだけ燃料費調整額の上限設定されている料金プランを選択した方がメリットが大きい状況であると言えます。

2022年10月サマリ

  • すべての地域で上限価格なしの場合は悪影響あり
  • 電力使用量が多いファミリー世帯では、月5,000円近くの影響額あり
  • つまり、できるだけ燃料費調整額の上限が設定されている料金プランを選択した方がいい

具体的な数値については、以下表にまとめています。

地域毎に数値が異なってきますので、対象地域のタブをクリックして確認してください

東京
北海道
東北
北陸
中部
関西
中国
四国
九州
沖縄
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 513円 807円 295円
200kWh 1,025円 1,615円 589円
300kWh 1,538円 2,422円 884円
400kWh 2,051円 3,229円 1,179円
500kWh 2,564円 4,037円 1,473円
600kWh 3,076円 4,844円 1,768円
700kWh 3,589円 5,652円 2,062円
800kWh 4,102円 6,459円 2,357円
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 366円 839円 473円
200kWh 733円 1,678円 946円
300kWh 1,099円 2,518円 1,418円
400kWh 1,466円 3,357円 1,891円
500kWh 1,832円 4,196円 2,364円
600kWh 2,199円 5,035円 2,837円
700kWh 2,565円 5,875円 3,310円
800kWh 2,931円 6,714円 3,782円
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 347円 946円 599円
200kWh 694円 1,892円 1,198円
300kWh 1,041円 2,838円 1,797円
400kWh 1,388円 3,784円 2,396円
500kWh 1,735円 4,729円 2,995円
600kWh 2,082円 5,675円 3,593円
700kWh 2,429円 6,621円 4,192円
800kWh 2,776円 7,567円 4,791円
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 177円 828円 650円
200kWh 354円 1,655円 1,301円
300kWh 531円 2,483円 1,951円
400kWh 708円 3,310円 2,602円
500kWh 886円 4,138円 3,252円
600kWh 1,063円 4,965円 3,903円
700kWh 1,240円 5,793円 4,553円
800kWh 1,417円 6,620円 5,204円
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 506円 676円 140円
200kWh 1,011円 1,351円 280円
300kWh 1,517円 2,027円 419円
400kWh 2,022円 2,703円 559円
500kWh 2,528円 3,379円 699円
600kWh 3,034円 4,054円 839円
700kWh 3,539円 4,730円 979円
800kWh 4,045円 5,406円 1,118円
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 224円 747円 523円
200kWh 449円 1,495円 1,046円
300kWh 673円 2,242円 1,569円
400kWh 898円 2,990円 2,092円
500kWh 1,122円 3,737円 2,615円
600kWh 1,346円 4,485円 3,138円
700kWh 1,571円 5,232円 3,661円
800kWh 1,795円 5,980円 4,184円
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 319円 1,156円 838円
200kWh 637円 2,313円 1,676円
300kWh 956円 3,469円 2,514円
400kWh 1,274円 4,626円 3,352円
500kWh 1,593円 5,782円 4,190円
600kWh 1,911円 6,938円 5,027円
700kWh 2,230円 8,095円 5,865円
800kWh 2,548円 9,251円 6,703円
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 255円 931円 676円
200kWh 510円 1,862円 1,352円
300kWh 764円 2,793円 2,029円
400kWh 1,019円 3,724円 2,705円
500kWh 1,274円 4,655円 3,381円
600kWh 1,529円 5,586円 4,057円
700kWh 1,784円 6,517円 4,733円
800kWh 2,038円 7,448円 5,410円
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 186円 574円 388円
200kWh 373円 1,148円 775円
300kWh 559円 1,722円 1,163円
400kWh 745円 2,296円 1,550円
500kWh 932円 2,870円 1,938円
600kWh 1,118円 3,444円 2,326円
700kWh 1,304円 4,017円 2,713円
800kWh 1,491円 4,591円 3,101円
  ①燃料調整額
上限あり
②燃料調整額
上限なし
上限設定による影響額
(②-①)
100kWh 398円 1,533円 1,134円
200kWh 796円 3,065円 2,269円
300kWh 1,194円 4,598円 3,403円
400kWh 1,593円 6,130円 4,538円
500kWh 1,991円 7,663円 5,672円
600kWh 2,389円 9,196円 6,807円
700kWh 2,787円 10,728円 7,941円
800kWh 3,185円 12,261円 9,076円

燃料調整価格の上限設定ありがおすすめです

チェック

当記事では、燃料費調整料金の考え方と最新燃料価格を用いた燃料調整料金について紹介してきました。

2022年10月分においては、ロシア・ウクライナ問題の影響により、原油価格の高騰が続いている状況であるため、燃料費調整単価の上限有無による電気料金へのインパクトが非常に大きい状況となっています。

そのため、現在、燃料費調整単価の上限が設定されている電気料金プランを選択した方が確実にお得になる可能性が高い状況ですので、電力会社選びの参考にしてください!